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良くない

7話では歌の指導回が描かれるのですが、ここは本作の「成長描写」の弱さがかなり露骨に出ていたように感じます。

特に気になったのは、「ボエー」という音痴表現でしょう。本来はコミカルな演出として機能させたいのでしょうが、終始言い方や演技プランが安定しておらず、“歌が下手”というより単純に雑な声を出しているように聞こえてしまいました。しかもきらり本人だけでなく、周囲の声優陣も全体的にテンションが浮ついており、シーン全体が妙に騒がしく感じられる。ギャグとしての勢いを優先した結果、「歌が下手だから改善しなければならない」という本筋より、ドタバタ感の方が前面に出てしまっていた印象です。

また、本作は全体的に精神的成長を重視する傾向がありますが、この回は特にそれが顕著でした。きらりは「気持ち」を理解したことで急に歌えるようになります。しかし、肝心の「なぜ歌えなかったのか」「どこをどう改善したのか」という技術面の描写がほとんどありません。そのため、努力の積み重ねというより、“気合いで急に乗り越えた”ように見えてしまうのです。

例えば、音程が取れないのか、リズム感が弱いのか、発声が安定しないのか――そういった具体的な課題を提示した上で、それぞれに対する練習や指導が描かれていれば、「成長した」という説得力もかなり変わっていたと思います。

さらに惜しいのは、他のボイストレーナー達の扱いです。きらりの精神的成長を強調したいがために、周囲の指導者達がほぼ噛ませ犬のような役回りになってしまっている。これは少し職業へのリスペクトに欠けるようにも見えました。

せめて各トレーナーが一言ずつでも、「この子の声にはこういう良さがある」「ここを伸ばせば変わる」といった形で、きらりの成長を支える役割を担えていれば、“一人で輝くアイドル”ではなく、“多くの支えによって舞台に立つアイドル”という構図がより見えやすくなったはずです。

その意味では、この回は「夢を追う気持ち」の描写自体は悪くないものの、アイドルという職業に必要な技術や支え合いの描写がかなり簡略化されており、本作のアイドル観の限界も見えてしまったエピソードだったように感じました。



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