月に住む民であるムーンレィスは、長年交流のなかった地球へと帰還すべく、少年少女3人による偵察部隊を降下させた。そのひとり、ロラン・セアックは、キエルとソシエの姉妹に迎えられ、月に人が住むことさえ知らない地球の暮らしになじむうちに、仲間の平和な帰還を望むようになる。
しかし、正暦2345年の夏至の日。成人の儀式に参加していたロランの目の前で、ムーンレィスの軍隊“ディアナ・カウンター”による侵攻が開始された。
“マウンテン・サイクル”に祭られた“ホワイトドール”と呼ばれる石像の中から現れた機械人形(∀ガンダム)に偶然乗り込んでしまったロランは、地球の自警団“ミリシャ”の一員として戦うことになる。
最初に感じたのは、この作品が「ガンダムの終着点」であるということだった。
『∀ガンダム』は、これまで積み重ねられてきたガンダムシリーズの歴史――いわば争いの連鎖を「黒歴史」として内包し、その果てに人類が辿り着いた世界を描いている。
その構造自体が、これまでのガンダムの“希望”に対する一種のカウンターのようにも感じられた。
どれだけ理想を掲げ、わかり合おうとしても、人は結局争いを繰り返してしまうのではないか。
「黒歴史=否定」と感じたのは、そうした積み重ねが一度リセットされているように見えたからだと思う。
しかし本作は、ただそれを否定するだけでは終わらない。
物語の中心にいるロラン・セアックは、地球人でもムーンレィスでもありながら、そのどちらにも完全には属さない存在だ。
彼にとって重要なのは陣営ではなく、「人」であることそのものだった。
敵味方という枠組みを越えて、すべてを守ろうとするその在り方は、争いの構造そのものを無効化しようとする意志の象徴に見える。
対してギンガナムは、人の闘争本能そのものを体現している。
人は戦うからこそ人間であるとする彼の思想は、作中で決して完全に否定されることはない。実際、争いは最後まで無くならない。
それでもロランは戦う。
それは勝つためでも、正義を示すためでもない。
「人が安心して眠るために」
この一言に、彼のすべてが集約されている。
争いそのものを消すことはできない。
闘争本能や欲望もまた、人間から切り離すことはできない。
それでもなお、人が穏やかに日常を送れる世界は作ることができる。
最終話、ディアナとロランが静かに暮らすあの時間は、まさにその答えだった。
「また明日」と言って部屋を後にするロランと、穏やかに眠るディアナの姿。
そこには劇的な勝利も、分かり合えたという確証もない。
それでも確かに、“争いのない時間”はそこに存在している。
理想は夢に過ぎないのかもしれない。
人は完全には分かり合えないのかもしれない。
それでも、誰かがその現実を引き受けた上で行動すれば、
「安心して眠れる世界」は実現できる。
『∀ガンダム』は、そんな静かで、確かな答えを提示した作品だった。
すべてのガンダムを認め受け入れ完結させた、ガンダムシリーズのフィナーレ。
躍動感が素晴らしい
全てのガンダムシリーズを一通り観ていますが、一番印象に残っているのがこのターンAガンダムです。 とにかく自然が美しい。地球という惑星は美しいとアニメを見て感じたのは初めての経験でした。 ガンダムを知らない、初めてみるよって人にもオススメしたい作品です。 遠い過去に戦争があり、文明が後退して19世紀初頭のアメリカのような世界で地球の人々は平和に暮らしていました。 そこに、遠い過去に月に避難した人々が、再び地球に帰りたいということになりました。 平和的に交渉をしましたが、地球側と月側との戦争は避けられませんでした。 このままでは一方的に月の進んだ文明にやられてしまいます。 ところが、地球には過去の戦争で使った兵器が山の中に眠っていました。 その兵器は、兵器だけど地球の人のためにも戦います。だけど月の人のためにも戦います。 命を大切にしない人たちとは誰とでも戦います。 知っている人はニヤリとする『ガンダム』と『ザク』が何万年も時間が経ったこの作品では仲間として一緒に並び立つことにもなります。空気は美味しいし、自然は豊かだし、水は綺麗な地球は美しい。 アニメでこういう感慨を抱けるとても懐の深い物語です。 巻き込まれた少年少女たちも等身大で悩んだり大人に導かれたり、いろんな経験をして成長する様子がみれます。 時が未来に進むと誰が決めたのか。 年月の重みや人の持つ業の深さなどすべてを包み込む風が吹いた作品で大好きです。 ぜひ52話 最終回の「黄金の秋」まで完走して爽やかな風にあたってくれたらいいなぁ。
手っ取り早く観たいと思っても、私はTV版をおすすめします。
長くてもぜひTV版で観てもらいたいです。
映画版の編集技術もすごいのですが、やはり駆け足&カットの連続なのでターンAガンダムの魅力はやはり伝わりづらいです。
気に入ったら、福井晴敏先生のターンAガンダムの小説版である「月に繭地には果実」も併せてオススメしますよ!
「刻が未来にすすむと 誰がきめたんだ」
このフレーズがバチッとハマる世界観が凄い。別作品だけど、千空が蘇らなかった世界線のストーンワールドはこんな感じなんだろうな。
キャラクターたちも争いそのものが風化された時代を生きているからか、戦争真っ只中にも関わらず悲壮感があまりなくて独特だった。
ストーリーの方からは、争わないために争いから目を背けて、忘れてしまっても良いのか、を問う内容なのかなと感じた。目を背け続ければ争いが起こることは無いというアグリッパの考えも分からんでもないし、答えのない難しい問題だなと思った。
上述の通り争いを知らない人々の話だからか、戦闘シーンは少なめで主役機のターンエーですら活躍シーンが少ないのはちょっと残念なところ。カプルやらウォドムやら他作品にいたらやられメカになってたであろうMSが一線級で戦い続けたのは面白いところだと思う。デザインは万人受けしないんだろうけど、個人的にはターンエーの古代兵器っぽい感じは好き。