(ネトフリでは見ておらず、映画館で初めて見た感想)
個人的には、面白かった。
容姿・知能・行動力が最強ないろはとかぐやがひたすら前に進み続けるという超パワフルな作品だった。
主要な登場人物は、人間的な嫌らしさをまったく感じず、いろはの兄(帝)やいろはの友人達も、かぐやの帰還を阻止するべく戦ってくれる良いやつで全員好きになった。
ヤチヨカップ優勝記念ライブももちろんだが、可愛いキャラクターを可愛く描けているのは素晴らしい。
かぐやのことを好きになっていることを自覚してからのいろはの行動力(月からの使者の妨害・FUSHIについて行ってかぐや(ヤチヨ)の秘密を探る・ヤチヨの8000年分の記憶の無量空処を耐え抜き、親を説得して研究者の道を進み、かぐやを復活させる・復活ライブで踊る)はすさまじく、最後の数十分は爽快感がありとても面白かった。
『ray』のMVが映画の最後で流れたが、最高だった。映画を見終わった後に超かぐや姫版の『ray』、『reply』、『remember』を音楽アプリで聴きなおすくらいにはこの作品を好きになった。『ray』がこの作品のために作られたと言われても信じてしまうくらいには良かった。
しかし、これは自分がかわいい2次元キャラに対して目が無く、オタクの活動に関するすべて(過言かもしれないが)を知っている+それらに肯定的であり、意味不明な世界観に対して(なろう小説を読んでいるときに、ナーロッパを何も否定せずに受け入れるが如く)疑問を持たない人間だから『面白い』という評価になっているのだと思う。
「月から来たって、どうやって?」とか「月の使者って結局何だったん?」「ブラックオニキスとやってたKASSENのルールがイミフ」等、【世界観やその世界にあるモノに対する理解ができない】(自分も思っていたことではあるが)という部分は多い。それだけでなく、いろはがヤチヨを推している理由が曖昧なところ、もっと言うと【推し活をしているのが当たり前なこの世界(ツクヨミが推し活前提で成り立っている経済圏である、というだけでなく、現実の人間たちも当然のように推し活をしているということ)】に対して疑問を感じている人もいるかもしれない。登場人物の行動原理がいまいち理解できない点、挫折とかをほとんどなしにガンガン物語が進んでいく点は間違いなくある。
探せばこういう部分はいろいろあると思う。そもそもぽっと出の配信者がそう簡単にトップにまで上ることができるのか、いろはの母親に対する行動・態度が不可解(一人暮らしをしているのに、進路について説得することにハードルを感じていることも若干わからん)等、普通だったらこういうところでつまづくよな~というものがほとんど無い点や、行動原理が不明なことが多いと感じた(心理描写が下手なのか、キャラたちに人間味が無いというのか、そういう引っ掛かりがある)。
後は、ヤチヨカップの参加表明~ライブまでの話はだらだらしている(わちゃわちゃやってるけど大筋は進んでない感がある)とか、かぐやが月に帰った以降のくだりはさすがにレールの上を走ってる感が出すぎていてマイナスポイントだとか。
結局、自分がこういうマイナスな側面を認識しつつも面白かったという評価をしているのは、いろは・かぐやのペアを好きになっているからだと思う。自分が萌え豚的な人間であり、いろは・かぐやの顔に対して(冒頭10分くらいで)好印象を持ってから(残りの部分を)視聴しているために好きになるわけだ。
世の中にはそうではない(オタクではない)一般人がいるはずで、そういう人たちはこの作品に対して、上に記述したようなところで引っ掛かりを覚えて、それを最後まで引きずってしまい、そうなると『面白くなかった』という感想になるのではないかと思う。
自分の好みだけで言えば☆4はあるが、作品の欠陥について認識しているのにこの評価をするのは自分的には納得できないので、☆2とする。好みだけで言えば今年のアニメ映画No.1(3月時点)だが、面白さ(キャラの行動や物語の進行に対する納得感)やアニメーションの趣深さ、伏線回収の仕方(起承転結の綺麗さ)を考慮すると、『パリに咲くエトワール』の方が評価は高いという結論。
(この作品について結構考えていたが、『リコリスリコイル』がもてはやされていた時を思い出した。個人的に、リコリコは(ストーリーが)面白くないと思っていたが、百合の力と作画によってマイナスな部分が霞み、世間的には滅茶苦茶評価されていた。この作品にも近いものを感じる。こちらに関しては、物語の大筋自体は悪くないものの、説明不足な点が多く、物語に奥行き(行動の納得感。動機が描かれているか)がかなり少ない。ただ、それを百合の力と作画(、ボカロなどのカバー曲)によってマイナスな部分が見えづらくなっていて、話の大筋が悪くない+キャラが好きというコンボによって、世間的には(自分自身も含まれるが)『面白い』と評価されている(と予想)。こういう作品が天下を取る世界線は来てほしくないと思う。深みがある物語を制作することや、アニメーションでしかできないこと(他の作品をパロって遊ぶとか、作画の良いライブシーンを作るとかではなく、『悲しみを雨で表現する』という方向性での極致を目指すという意味)に挑戦してほしいと思う。そしてそういう作品が評価される世界線になってほしいと願っている。
初見で気づけないレベルの細かい伏線回収を複数回視聴で気づいたり、Youtubeの動画で知ることで、「この作品はこんなに細かい描写をしていて素晴らしい」と言っている人がいる。個人的には、【各視聴者が、1回の視聴で理解できなかったものは、その視聴者にとって『無い』ものである】と考えているので、後付けでいろいろ知ることで作品の価値が視聴後よりも上がるということは無い。細かい伏線が多いと評価している層は、最初の視聴でどこまで自分で気づけたのか、最初の視聴でこの作品のどこに惹かれたのかを教えてほしい。・・・リコリスリコイルの時にも同じようなことを思っていたなぁ、と思い出した)