サービス開始日: 2016-04-05 (3775日目)
「私の地平線はクイーン学院からこのグリーンゲーブルズに帰ってきた夜から見れば極端に狭まってしまったのかもしれません。しかし、たとえ私の足元に敷かれた道がどんなに狭くても、その道にはきっと静かな幸せの花が咲いているに違いないと思います。真剣な仕事と立派な抱負と好ましい友情を手に入れる喜びが私を待っています。本当に道にはいつでも曲がり角があるものですね。新たな角を曲がった時、その先に何を見出すか。私はそこに希望と夢を託してこの決断をしたつもりでした。でも、狭いように見えるこの道を曲がりくねりながらゆっくりと歩み始めた時、広い地平線に向かってひたすら走り続けていた頃に比べ、周りの美しいものや人の情けに触れる事が多くなったような気がするのです。無論、広い地平線の彼方に聳え立つ高い山を忘れてしまったわけではありませんし、何者も持って生まれた空想の力や夢の理想世界を私から奪い取ることは出来ません。でも、私は今何の後悔もなく安らぎに満ちてこの世の素晴らしさを褒め称えることが出来ます。ブラウニングのあの一節のように。
神は天にいまし。すべて世は事もなし」
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「人の死というもの全く知らなかったアンにとって、ここ数日の出来事は意外だった。マシューがいなくてもその気になれば昔と同じようにやっていけるということが心悲しく思えた。自然や花、愛や友情がこれまでと少しも変わらずアンの空想を刺激し、アンの胸をときめかす力を失っていないこと、そして、人生が依然として様々な声音で強くアンに呼びかけているのだということに気づいた時、アンは恥ずかしさと後悔に似たものを感じたのである。」
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「アンは一人になれたら泣けるに違いないと思った。あんなにも愛し、あれほど自分に尽くしてくれたマシューのためにも、一滴の涙も流すことができないとは、全く途方も無いことだった。前の日の夕方、アンと一緒に歩いたマシューは今や頑として侵し難い安らぎの色を額に浮かべながら、下の仄暗い部屋に横たわっているのだ。しかし涙は出でこなかった。涙の代わりにあの前と同じなんともいいようのない鈍い痛みのような切なさがこみ上げてきてアンを苛み続けた。」
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